サッカーワールドカップの真っ最中ですが、よく、中継を聞いていると「身体能力の高い選手ですね」というコメントを耳にしませんか?
身体能力が高い・低いとは、どうゆう事なのでしょうか?
外国人選手に比較して、日本人選手の身体能力は、どのくらいのレベルにあるのでしょうか?
身体能力を表す指標に、フィジカルアセスメントを測定する方法がありますが、本当に測定値が良いだけで、実際それが試合の最中に発揮出来るのでしょうか?
結論から先に言えばそれはNo,です。
測定上の能力と試合中の身体能力は、必ずしもイコールにはならないのです。
私が旧ユーゴスラヴィアスキーチームに在籍していた経験では、日本人選手より、測定上のデータが低くても、はるかに成績が上位にいる選手は多く見受けられました。では、どうしてこのような事が起こるのでしょうか?
ひとことで言ってしまえば、日本人選手より彼らの方が実際の運動中に、より一層の動きを発揮して競技をしているからなのです。
では、何故このような事が出来るでしょうか?
その違いを民族差による身体の使い方からお話したいと思います。
以前よりこのコラムで欧米人と日本人の身体の使い方の差異を述べていますが、一番大きく違うのが、股関節の使い方になります。使い方の差は脚の形状に表れます。
前かがみ(屈筋主導)で、股関節の可動域の狭い日本人は、大腿部前面(大腿四頭筋)から外側にかけて発達しており、一方股関節の可動域の広い欧米人は、大腿部後面(ハムストリング)内側にかけて発達をしている選手が多く見受けられます。
この形状は、動作を発揮している最中の安定性に非常に重要となってくる腸腰筋群、ハムストリング(大腿部後面)、脊柱起立筋群(背面)の活動指標となる訳です。
つまり、彼らは股関節を動作時に安定させ、身体を使い、最大限にその能力を発揮させる事が出来る訳で、その能力差は脚の形状にはっきりと表れるのです。
日本人の多くは、脚が太いから丈夫だとか、しっかりしている、太いからこそいいのだ、という観念を持っている様です。
このような意識の日本人は本当に多いのだなーと思うのが、日本人のサッカーの練習時に行われているブラジル体操を見ていれば、よくわかります。
この体操は本当によく考えられていて、すべての動作において先にも述べた腸腰筋群、ハムストリング、脊柱起立筋群といった、動作の安定性に必要な部位を覚醒させ、股関節の可動域を高め、より良い能力を発揮するプログラムになっているのですが、残念ながら、日本人はここに気づかず形としてのシルエットをとりあえず真似ているようにしか、私には思えないのです。
ひとつひとつの動作は、ゆっくりやると、本当に意味のあるものなのです。
元々、骨盤の中にある腸腰筋群が使える民族がプログラムをしたもの、と言えばそれまでですが・・・
このような差異を考えず、ただ練習だけしても、身体能力は発揮出来ません。
移動の歴史が少なかった日本人は、民族的にみても、まだまだ「動く」事に長けていない為、どう動けば良いのか?と常に考えている傾向になりますが、元々、移動の歴史がある欧米は、動くためにはまず安定して立てる事が必要で、安定性があってこそ、身体能力が発揮出来る事を遺伝子レベルで理解しているのだと思われます。
サッカーの試合を見ていて、外国人選手は、ゴール前の混戦から不安定な状態でも、軸足の股関節を安定させて、見事なシュートを入れる選手を見る事が出来ますが、一方、日本人選手は、軸足股関節の安定より、蹴る側の足を無理に使っている様子がよく見受けられます。
外国人選手に共通して言える事は、日本人選手と大腿部の形状が違う事、そして、不安定な状態でも、上体を安定させる事が出来、身体能力の高い股関節を持っている事実があります。
私はサッカーの専門家ではないので、技術的な事についてのコメントは控えますが、日本チームは「決定力不足」と、よく解説者が口にしていますが、選手一人一人の身体能力を最大限に発揮出来る股関節を有する事こそ、ここ一番の決定力不足の改善につながるのでは?と常々感じている事です。
本日と24日、と予選があります。
外国人選手との身体の差異に着目してゲームを観戦するのも、面白い観方ではないかと思います。
日本チームの貢献に期待を致します。
平山昌弘 拝


